読書
短編小説『草上の昼食』は、川上弘美さんの短篇集『神様』の巻末に収録されている作品。巻頭の『神様』と、巻末の『草上の昼食』、いずれも同じ登場人物(主人公と、主人公の友達の「くま」)が出てきます。 『神様』の続編が、『草上の昼食』であるというわ…
『桜の森の満開の下』は、1947年に発表された坂口安吾の代表作です。 人間の残酷さ、崩壊した倫理、恋愛の狂気によって狂わされる人間の姿などが同居しつつ、すべてが現実離れした「美しさ」で満ちていて巧みに描写された短編小説です。 何度読み返しても「…
人生を変えられた本はなにか? と聞かれたら、わたしは、高校生のときに読んだ、坂口安吾の「堕落論」だと迷いなく答えます。 www.aozora.gr.jp (えっ、というか、青空文庫ってボランティアなのですね?? 知らなかった……! 著作権保護期間の終わった作品、…
短編小説『神様』は、川上弘美さんのデビュー作。 1994年にこの作品で第一回パスカル短編文学新人賞を受賞したことで小説家としてデビューされたそうです。 くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである―四季おりおりに現れる、不思議な“生き物”たちとの…
江國香織さんの初期作品をまとめた短編集「つめたいよるに」に収録されている作品「冬の日、防衛庁にて」についてです。 ※全面的にネタバレした上で感想を書いていますので、物語の内容を知りたくない方はこの先はお読みにならないでください 新潮文庫の「つ…
村上春樹さんといえば長編小説のイメージが強いですが、短編もいいですねえ。 今回は、短編小説集「神の子どもたちはみな踊る」の最後に収録されている作品「蜂蜜パイ」について書きたいとおもいます。この話とても好きで定期的に読み返してしまう……※全面的…
川上弘美さんの「神様」は大好きな短編小説集で、もう何回も何回も読み返しているのですが、最近あらためて収録作品のひとつ「離さない」を読み返したら度肝を抜かれてしまいました。
『綿菓子』は、江國香織さんの作品の中でも、かなり好きな中編小説です。 新潮文庫「こうばしい日々」にはふたつの中編小説二編が入っていて『綿菓子』は後半におさめられています。
むかし大学生のとき読んだときのわたしの感想はたしか「せつないけど美しい話」「なんか唐突な結末だなあ(どのように受け止めたら……?)」といったライトなものだったと記憶しているのだけれど、いま再読してみたら感想が全然違いました。最高でした。再読…
吉田修一さんの小説、振れ幅ひろすぎ。 ほんとに。振れ幅が広くてびっくりする。 わたしが今まで読んだことある吉田修一さんの作品は、『パレード』『悪人』『横道世之介』『パーク・ライフ』『熱帯魚』『春、バーニーズで』『最後の息子』、そしてこの『7月…
遠野遥さんの『破局』は、芥川賞受賞をされて話題になった当時に読んだのですが、最近また読み返してまた感想を書きたくなったので書きます。とにかく「いろいろ語りたくなる」作品なんですよねこれ。。 ※以下、私の推測を多分に含む感想なので、小説の読み…
自分の価値観というものについて「この価値観、どこからきてるんだろう?何の影響なんだっけ?」と思うことがある。 「これはかっこいい」「これはかっこよくない」という、漠然とした主観というものが、自分の中にいろいろあるなあ、と思う。 むかし、自分…
高校1年の夏休み、太宰治の『女生徒』を読んだ私は度肝を抜かれた。 "えっ、ちょっと待って...??どこのページを開いても、私が普段考えていること―しかもこんなこと口に出してもしょうがないことだからそっと心の中にしまっておこうって思っていた感情ばか…
この前Twitterを見ていたら 「#名刺代わりの小説10選」というハッシュタグがあったのでやってみました。要は自分の好きな小説を10作品挙げるというものです。 これ、他の方が挙げている作品名・作家名をみていると「そうそう、その小説も気になっていたんだ…
為末大さんの「諦める力」を読みました。 // リンク 日本人は「やめる」「諦める」と言う言葉の背後に、自分の能力が足りなかったと言う負い目や後ろめたさや敗北感を強く持ちすぎるような気がする。 (為末大「諦める力~勝てないのは努力が足りないからじ…
たとえば誰かと話をしていて、相手の話が何だか的を得ないままだらだらと続き、そもそも何で私にそんな話をしてくれるんだかその真意がさっぱりわからず、「結局あの人何が言いたかったんだろう?」と思っていて、数年後、